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May 7, 2009

バカな質問なんてない。あるのはバカな答えだけだ。

1月から聴講していたエコロジー経済学の授業が終了した。(写真:バークレー大学ホームページ

「持続可能な発展」の為に、エコロジー経済に何ができるのか。また私は、どのように貢献する事ができるのか。

バークレー大学から研究所に向かう電車の中でこれまでの授業をまとめ、じぶんなりの答えをだそうとノート広げるも、何も書く事ができない。はっきりとした答えがない問題を、必死に考えているうちに自分の無力さに愕然とした。

ただ目の前に様々な形と色の積み木が、無造作にちらばっていた。

ノーガード教授が「裏切られた発展」で「答えより多い疑問」と発言していることを単純に「かっこいい」言っていた12月

しかしそれは簡単に受け入れられることではないを痛感した。

無知を知る事が「知」のために必要なことだとしても、その後に続く無限の疑問はかなりおそろしいものである。

ここでいう「無知」とは、単に知っている事を競い合い、優越感に浸ったり、劣等感に打ち載せされるような知識比べの意味ではない。それは、たかだか人間社会の小さな範囲でのことであり、そのことが生きる上で特に致命的なことにはならない。

本当の「無知」とは、あまりに小さな人間にかせられた、あまりにも大きな課題に気づくこと。

研究所で会議をしている最中も、ずっとこの事が頭から離れず、帰る頃には意識がもうろうとした。

普段なら仕事のあとアパートの近くのコーヒーショップで3時間程勉強するのだが、さすがに今日は無理だと思い、授業が無事に終わった事への「自分への褒美」のつもりで、映画を観に行った。特にみたい映画があるわけではなかったので、映画館に到着した時間に一番開始時間が近い映画を選ぶ。

Enlighten up

「ヨガとは何か」を求めてインドまで取材をする軽いドキュメンタリータッチの映画だった。映画の途中10分程知らないうちに眠っていた。

目が覚めると、インドの川を主人公がくだっているシーンだった。
人里離れた一人のヨギに会うためだった。

「バカな質問かも知れませんが、、」と切り出す主人公にヨギは笑いながら、こういった。

「バカな質問なんてない。あるのはバカな答えだけだ。」

「何をしているのかを考えるよりも、どうしてそれを行っているのかを考えなさい。それはあなたを幸せにするのですか。それをして幸せになるなら続けなさい。余分な服を脱ぎ捨てるように、あなたを幸せにしないような無駄な事は取り除き、シンプルな生活をもとめなさい。幸せはあなたの心の中から生まれてくる。(意訳)」

映画の後、答えのない世界そのものを受け入れる事の「気持ちの隙間」ができていることに気づいた。それは、受け入れる「勇気」ではなく、大きな存在に自分をゆだねる「感謝」の気持ちにちかい。

51%の「わくわく」と49%の「不安」

これが今の私の状態だ。

しかし、この小さな2%の差があるかぎり、まだまだ前に進んでいける。

もしかしたら、人生はそれぐらいのさじ加減が丁度いいのかもしれない。

積み木を前に、はしゃぐ子供の気持ちにはほど遠いが、自分にもそれに近い「わくわく」する気持ちがまだ残っている。

いつも親身になって、さまざまなアドバイスや的確な研究資料を与えていただいたノーガード教授。授業が終了した後、教室に鳴り響いた生徒からの拍手。それに照れ笑いしながら教室を後にするノーガード教授。一生忘れない光景になった。クラスの友達もみな同じ気持ちだったと思う。

本当に、どうもありがとうございました。

伊波克典

積み木の写真

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