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Jul 8, 2011

第4回:日本のエコロジカル・フットプリント(2)

エコロジカル・フットプリントと私たちの活動を細かく分析することで、私たちの生活の何がどれだけの負荷を自然に与えてきたのかが見えてくる。つまり、エコロジカル・フットプリントは、“人間と自然とのかかわり”を再認識させてくれる。

「個人」と「社会」
「日本のエコロジカル・フットプリント」という場合、そのフットプリントには実は「個人」と「社会」的な要素が混在している。このことを理解すると、それぞれの特徴に合わせた具体的な対策をイメージしやすい。

例えば、個人的なフットプリントは個人の生活スタイルの選択に基づく食料・交通手段・商品・サービスの利用に関連しており、私たちが日々の行動を見直すことで“直接”変えていくことができる。しかし政府消費に関連したものや、固定資本形成などの投資関連のフットプリントは社会的要素が強く、長期的な視野で“間接的”に変えていかなければならない。

上記グラフを見てみよう。個人に関連したフットプリント(家計消費活動)の割合が断然高く、全体の67%にまで及んでいる。しかしこれを個人の意識によって“直接”変えていくことができるフットプリントが67%もある、とポジティブに解釈してはどうか。

例えば、このフットプリントの約36%が食料項目によって誘発されているが、これは食料需要のかなりの部分を輸入に依存しているためで、それに伴い輸送時に発生するカーボンフットプリントの値が高いことなどが理由だ。 だとすれば、近年注目を浴びている「地産地消運動」を更に推進し海外の依存度を下げていくことで、かなりの軽減が期待できる。

人とモノの関係
リサイクル等によりゴミを減らすということも、エコロジカル・フットプリントの削減に役立つ。私が以前家庭教師をしていた頃、その子から小学5年生の教科書にある「ゴミの定義」を教えてもらった。「モノは人とのかかわりが切れ、だれも使う人がいなくなったとき、ゴミになる」というものだ。

例えば、エンピツを道に落としたとする。誰かが偶然拾って使ってくれればゴミにはならないが、そのまま放置された状態では「ゴミ」になってしまう。つまり、エンピツとしての性質が変わったからゴミになるわけではなく、人とのかかわりが切れたから「ゴミ」になる。

高度経済成長とともに日本中に広がった大量生産・大量消費の生活スタイルは、2000年以上の日本の歴史においてかなり例外的な期間だと思える。ノーベル平和賞受賞者であるケニアのワンガリ・マータイ元環境副大臣によって世界的にも有名になった「もったいない」という言葉に代表されるように、自然資源を大切にし質のよいモノを長く大切に使うというのが日本人の伝統的な生き方ではないか。そこにエコロジカル・フットプリントを削減する多くのヒントが隠されている。

あなたの生活は地球何個分?
これまで説明してきた日本のエコロジカル・フットプリントとは、あくまで日本人の平均的な値であった。それでは、あなた個人のエコロジカル・フットプリントはどうであろうか。生活スタイルが違えば、フットプリントの値も違うはずだ。

グローバル・フットプリント・ネットワークでは、個人のエコロジカル・フットプリントを計算するソフトを開発し、誰でも無料で利用できるようにホームページ上で公開している。同ソフトはアメリカの大手ケーブルテレビ・CNNでも取り上げられた。現時点では日本を含む世界15ヶ国の計算ができる。

これを、小中高の環境学習などで使用するとおもしろいのではないか。生徒の生活スタイルと環境負荷の結びつきを感覚的に理解することができる。その際、持続可能な社会の姿をスケッチしてほしい。子供が創造する“物語の力”が、持続可能な発展の大きな原動力となるからだ。

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同記事は、6月10日に琉球新報(沖縄)に記載された記事「持続可能な地球〜エコロジカル・フットプリント」をブログ用に加筆・校正したものです。
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パーソナル・フットプリント計算機

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